天然着火材(とと松) - 薪暮らしを始めよう
天然着火材のとと松の存在を知ったのは数年前の事です。
いつもの様に伐採作業をしていた所、樵(きこり)の田中さん(御年75才)が枯れ朽ちた松の根を掘り出して持ち帰ろうとしていました。私はなぜそんな物を持ち帰るかと聞いてみました。田中さんは何も言わず、根を少し削りライターを近づけました。すると、ビックリするくらいの炎が立ち上がりました!たかが木の根でこんなにも良く燃えるのには目を疑いました。
田中さんの話によると、昔はみんなとと松を使用していたそうです。今の様に簡単に着火する物が無く、いろりで使った火を他のかまどや風呂の焚口へ移動する時に使っていたらしい。
100年以上成長し、さらに伐採後30年以上土中にあった松の根だけが成せる業。よく見るとたくさんの脂分を含み、削った所はテカテカしています。
私と田中さんの年は30年の違いだけなのに、その30年で生活が一変してしまった事を改めて感じました。自然の中で生きる知恵が、受け継ぐ人も無く失われていくのはとてももったいない事です。まだまだ自然の力を感じ、受け継いでいきたい。そんなとと松を皆様にも使って頂ければと思います。